有機薄膜太陽電池とは PART2



有機薄膜太陽電池の構造を見てみましょう。実験室では約1cm×1cm程度の太陽電池を試作します。

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↑実際のデバイスの写真。

それでは断面はどうなっているのでしょうか?有機薄膜太陽電池は厚さ100nm程度の超極薄膜を使っています。超極薄膜を真空蒸着により層構造を作ります。たとえば、p型半導体だけの層、p型半導体とn型半導体が混ざったバルクヘテロ層、そしてn型半導体だけの層と作り込みます。真ん中のバルクヘテロ層と呼ばれる混合層は有機の特長で、p-n接合界面面積が増えることで大きな電流を生み出すことができます。塗布系(ポリマーと炭素材料)の場合は2つを溶媒に溶かしこんでスピンコートするだけでこのバルクヘテロ層が出来上がります。有機半導体層は透明電極(ITO)と上部電極(金属)でサンドイッチされた構造になってます。


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↑デバイスの断面構造


さらに、積層の仕方や電極の選び方で電流の取り出し方向が上向きか下向きかになります。一般的に、透明電極ITOの上にp型層そしてn型層、最後に電極の構造が一般的です。電流の取り出しが反対になる透明電極(酸化亜鉛)の上にn型層そしてp型層、最後に電極問うのが逆構造と呼ばれています。

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↑順デバイスと逆型デバイス

並べる順番や使う電極を変えるだけで電流の方向を変えることができます。従来は、順デバイスが主流でしたが、n型半導体C60は酸素や水に弱いため、逆型太陽電池にすることで耐久性が上がり今後の主流になると考えられています。


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