理学談話会(計算科学分野)のご案内(2024.12.09)
開催予定
開催期間
2024/12/9
2024年11月28日
開催予定
開催期間
2024/12/9
2024年11月28日
講 師:岡本 祐幸 氏 (名古屋大学特任教授)
日 時:2024年12月9日(月)14:45~
場 所:金沢大学自然科学5号館 大講義室
題 目:「拡張アンサンブル法による生体分子シミュレーション」
概 要:
生体系などの多自由度複雑系では、エネルギー極小状態が無数に存在するため、温度一定のカノニカルアンサンブル上の従来のモンテカルロ法や分子動力学法による計算機シミュレーションは、それらのエネルギー極小状態に留まってしまうという難点がある。すなわち、シミュレーションの結果が初期状態に強く依存してしまうので、計算結果の信頼性が極端に低くなってしまうのである。本講演では、拡張アンサンブル法(generalized-ensemble algorithm)と総称される手法を説明する。このシミュレーション法は、非ボルツマン因子による人工の統計力学的集団に基づいており、ポテンシャルエネルギー空間や他のパラメータ空間上の酔歩を実現することで、エネルギー極小状態に留まるのを避ける。そして、従来の手法と比べて格段に幅広い状態空間を探索することを可能とするのである。拡張アンサンブル法では、唯一回のシミュレーションの結果から、自由エネルギー最小状態ばかりでなく、様々な物理量の任意の温度や(系を指定する)他のパラメータ値における期待値を得ることができるという特徴がある。本講演では、特に広く使われている三つの拡張アンサンブル法(すなわち、マルチカノニカル法、焼き戻し法、レプリカ交換法)の生体分子系への適用例を紹介する。
連絡先:数物科学系 川口一朋(kkawa*wriron1.s.kanazawa-u.ac.jp)
※ [*]は[@]に置きかえてください。