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下水モニタリングによる感染症流行情報発信が「STI for SDGs」アワード優秀賞を受賞(2025.10.25)

2025年11月11日

 金沢大学理工研究域地球社会基盤学系の本多了 教授、小松市、株式会社クボタ、富山県立大学、情報・システム研究機構が共同で実施している取り組み「下水モニタリングの情報発信による市政の価値創造と感染症への意識変革」(以下、「本取り組み」)が、国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)主催の 2025 年度「STI for SDGs」アワード(※1)(以下、「本アワード」)において優秀賞を受賞しました。
 本取り組みは、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを契機として産官学が連携し、2021 年から「小松市モデル」として小松市の下水モニタリング(下水の採取、ウイルスの分析・データ解析・情報発信)を行っています。この取り組みにより、感染症流行情報を市民に積極的に発信・周知することで、市民の感染症に対する意識変革と行動変容の促進、さらには新しい産業の創出を通じて、誰も取り残さない感染症対策の実現を目指しています。
 本アワードは、科学技術イノベーション(STI)(※2)を活用した持続可能な開発目標(SDGs)の推進に資する実践的な取り組みを表彰するものです。今回の受賞では、産官学に加え、医療機関や住民を巻き込んだ持続可能なモデルを確立していることや、社会システムの根幹としての下水道全体の付加価値向上を見据えた取り組みであることが高く評価されました。
 今後は、本取り組みをさらに発展させ、全国下水サーベイランス推進協議会や日本下水サーベイランス協会などの関係機関とも連携しながら、全国各地への展開を進めてまいります。これにより、誰一人取り残さない感染症対策と持続可能な社会の実現に貢献していくことを目指しています。
 なお、2025年度「STI for SDGs」アワードでは、文部科学大臣賞1件、科学技術振興機構理事長賞1件、優秀賞4件、奨励賞4件、次世代賞2件が選出され、2025年 10月 25日(土)に表彰式および受賞団体による取り組み紹介が行われました。

写真:左から2人目が本多 教授

【本取り組みに関する役割】
金沢大学 下水中のウイルス検出に関する技術開発
下水の分析(ウイルスの分析、データ解析)
小松市 下水試料の提供、市民への情報発信・周知
医療関係者との意見交換の開催
株式会社クボタ 下水の分析(ウイルスの分析、データ解析)
下水中のウイルス検出に関する技術開発
富山県立大学 下水中のウイルス検出に関する技術開発
下水モニタリングに関するアドバイザリー・助言
情報・システム研究機構 他自治体や関係機関への取り組み周知
【用語解説】

※1 「STI for SDGs」アワード
 未来共創推進事業の一環として、科学技術・イノベーションを用いて、社会課題を解決する日本発の優れた取り組みを表彰する制度。
 参考URL https://www.jst.go.jp/ristex/sdgs-award/about/overview.html

※2 科学技術イノベーション(STI)
 科学的な発見や発明によって得られた新たな科学技術を、社会の課題解決や SDGs の達成、社会変革に結びつける活動。STI は Science, Technology and Innovation の略。

 

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研究者情報:本多 了