イベント

理学談話会(数学計算科学分野)のご案内

終了
開催期間
2022/1/13
2021年12月23日

理学談話会(数学・計算科学分野)のご案内
講師: 若山 正人 氏(NTT基礎数学研究所・九州大学)

日時: 令和4年1月13日(木)16:00~17:00

場所: 自然科学5号館大講義室

題目: スペクトルの縮退と隠れた対称性 -ASYMMETRIC QUANTUM RABI MODELSを例に

概要: 
量子光学においては、これまで、現代数学との深い関連においての積極的な研究は、あまりなされてこなかったようです。本講演では、量子光学のもっとも基本的なモデルとされる(非対称)量子ラビ模型((Asymmetric)Quantum Rabi model: (A)QRM)などを対象に、そこに意外と深い数学的構造が見られることなど、観察と数学の予想を交えながら紹介させていただこうと思います。こうした物理モデルは、今や、理論・実験分野ともに、量子コンピュータの実現に向けてなど、量子情報との関わりからきわめて活発な研究がなされているところです。

QRMは光子と2準位原子との相互作用を記述しています。F. Yoshiharaらの最近の研究「超伝導人工原子と電磁場の相互作用」によると、その実験測定結果と(A)QRMの理論計算には見事な一致が見られます。その結果、いわゆる深強結合系において、基底状態を含むエネルギー固有状態がエンタングルメント状態であることが強く示唆されています。QRMのハミルトニアンは明らかな Z_2-対称性をもちます。それゆえ縮退固有値の存在が従います。一方、AQRMには見かけ上の対称性がありません。にもかかわらずAQRMにおいても、QRMがもつ対称性を崩している物理パラメータ(実数)が半整数値のときには、予期されていなかったスペクトルの縮退が起こります。一般に、物理学においては、系に縮退があれば、そこには対称性が存在すると信じられてきました。

本講演では、斯かるAQRMには、確かに隠れた対称性が存在するという最近の発見、さらにそれがディオファントス幾何学などにも通ずるかもしれないなど、についてもお話もさせていただく予定です。

世話人: 宮地 秀樹、永野 中行(Email: atsuhira-nagano@se.kanazawa-u.ac.jp)

開催方針の変更について※R4年1月12日追記

(1)対面とZoom 配信のハイブリッドで行います。
(2)対面での開催場所: 自然科学5号館2階223室(計算科学事務室隣の大セミナー室)
(3)参加方針: 基本的にオンラインでの参加を推奨します。(詳細は世話人 永野まで)