世界初! 個々の原子間の結合強度の測定に成功 ―強くて伸びる白金原子の鎖状物質―(2021.04.29)
2021年05月24日
数物科学系 新井 豊子 教授と北陸先端科学技術大学院大学らの共同研究グループは、物質を構成する個々の原子の並びを観察しながら、その結合強度を計測できる顕微メカニクス計測法を開発した。この手法を使って、白金原子が一列に並んだ鎖状物質が強い結合強度を持つとともに、白金の塊(バルク)と比較してかなり大きく引き伸ばしても破断しないという特異な性質を持つことを発見した。実験結果を第一原理計算で解析したところ、この鎖状物質は、エネルギーが最小になる安定構造を取っているわけではなく、その形成に必要な張力が極小な構造であることを突きとめた。この鎖状物質がもつこの特有な性質の解明は、今後ますます期待される原子スケールで制御された機能性物質の創製に指針を与える大きな成果である。
本研究成果は、2021年4月29日(米国東部標準時間)に科学雑誌『Nano Letters』誌のオンライン版で公開された。
なお、本研究は、日本学術振興会(JSPS)科研費, 18H01825, 18H03879、笹川科学研究助成, 2020-2006、ERC ULTRADISS Contract No. 834402, the Italian Ministry of University and Research through PRIN UTFROM N. 20178PZCB5の助成を受けて行われた。
- Nano Letters
- 研究者情報: 新井 豊子