イベント

理学談話会(地学分野)のご案内

終了
開催期間
2019/1/22
2019年01月22日

日 時: 平成31年1月22日(火) 16:30 – 18:00

場 所: 自然科学本館 106講義室

講 師: 中村 英人先生(大阪市立大学 理学部地球学科)

演 題: アルケノン古水温計の応用と残された謎

内 容:

 アルケノンは40年前に海洋堆積物から発見された長鎖の直鎖不飽和ケトンで,海洋表層に生息するハプト藻イソクリシス目の種が生合成する生物指標分子である。アルケノンの不飽和度がハプト藻の生育水温に応じて変化することから,堆積物中のアルケノンの不飽和度から過去の表層水温を復元する「アルケノン古水温計」が開発され,古海洋学に欠かせない手法として確立されてきた。湖沼からもアルケノンが見つかるが,陸水のアルケノン生産種の多様性やその水温応答の解明が進んだのは最近のことである。演者らはカナダ内陸塩湖から単離した新規アルケノン生産種をはじめ,複数の陸水種・沿岸種の培養実験により,アルケノン生産種の系統群ごとの脂質組成や水温換算式の特徴を明らかにしてきた。本講演では,アルケノン古水温計の原理について解説し,湖沼や汽水域の古環境復元への応用を中心に最近の展開を紹介する。

 世話人: 地球社会基盤学系 長谷川卓