イベント

理学談話会(地球惑星科学分野)(2022.12.19)

終了
開催期間
2022/12/19
2022年12月15日

<日時>
2022年12月19日(月)16:30-17:30
<場所>
自然研大講義棟 AV講義室
<講師>
臼井 洋一 先生(金沢大学 地球惑星科学コース古地磁気研究室・准教授(令和4年3月着任))
<題目>
遠洋堆積物磁性の時空間変化が示唆する太平洋西部沈み込みの発展と海洋への物質供給との関連 

<講演要旨>
 海洋の一次生産はしばしば地殻由来の元素の供給に規制される。一方、遠洋堆積物中の磁性鉱物は大きく分類すると、地殻から運ばれたものと、磁性細菌により生成されたものよりなる。そのため、堆積物の磁性は地殻物質の過去の変動をある程度反映した記録だと考えられる。
 北太平洋においては、磁性鉱物の細かい磁性の違いから、特徴の異なる複数の地殻由来成分の存在が報告されている。このうちの一つがアジア内陸部の乾燥地(タクラマカン砂漠等)から飛来するダストであることは、現在の砂塵観測からほぼ確かである。ダスト成分は少なくとも過去300万年前から現在に向かって増加し、北太平洋遠洋の表層堆積物の磁性の主要な成分となっている。
 では、古い時代に優勢であった、その他の地殻由来の成分とは何なのか?本研究では、磁気測定が比較的迅速に行えることを生かし、北太平洋の7サイトから磁性の時空間変化を得て比較する。その結果、もう一つの主要な地殻物質が(1)北太平洋の西部に特徴的で、(2)おそらく漸新世以前から増加し始めた、ことを示す。そのうえで、これらの条件を満たす起源として西太平洋沈み込み帯における爆発的噴火を提案する。この仮説の帰結として、アジア乾燥化以前には火山活動が海洋生物生産変動に影響した可能性が示唆される。

<世話人>
地球社会基盤学類・地球惑星科学コース 水上 知行 
お問い合わせは、水上(peridot*staff.kanazawa-u.ac.jp)まで
 ※*は@に置きかえてください。